2016年4月2日土曜日

金融ネタを楽しもう


経済学徒の端くれとして、金融をネタにしたドラマや映画の話題作は観るように努めています。古くは『ウォール』。世界的にマネーゲームが席巻し、日本経済もバブル化し始めた頃の有名な作品で、これがその後の自分の進路選択にも大きく影響したような気がします。その後、日本でも『金融腐蝕列島』や『ハゲタカ』など金融ネタの映画がヒットしシリーズ物として公開されました。

これら金融ネタのドラマや映画は、内容の性格上、専門用語が多用されますが、作品の中で素人向けにいちいち細かく用語解説を加えると冗長になったり白けてしまったりするので、作り手は相当苦労していると思います。そういう意味では、金融ネタの作品を楽しめるようになること自体が“楽しみ”でもあります。

前置きはこれくらいにして。この3月4日から日本でも公開されている『マネショート』を先日観てきました。リーマン・ショックをネタにした作品の一つですが、証券化商品に関する専門用語を多用しているので知識がないとチンプンカンプンの作品かもしれません。幸い当学科では、この作品に出てくる多数の用語や概念について学べる授業があります。証券論、金融論、金融システム論などです。

この作品ではアメリカでの住宅ローン市場とそれを基にした証券化商品市場のバブル崩壊がネタになっていますが、バブルはそれが発生しているときはバブルだと気が付かなかったり、気づいたとしてもバブルの芽を摘み取る市場調整がすぐには働きにくいと今日の経済学では考えられています。ということは、既にバブル化している、あるいはバブル化する市場は他にもある可能性があり、現在何がバブル化している可能性があるか考えてみると面白いでしょうし、『マネー・ショート』の登場人物のような人たちが既にバブル崩壊に賭けているかもしれません。・・・もっとも、気づいている人はとっくに気づいていて、その判断の妥当性を巡ってよく話題にもされます。

以上にも関連しますが2月に導入された最近話題のマイナス金利。日銀がマイナスにしたのは銀行からの預り金の一部の金利で市中金利は対象ではありませんが、市中の貸出金利や預金金利もマイナスになるのは法的合理的ないという見解もあったりして、金融ネタはいつも面白い。当学科の学生はその面白さを楽しめるようになると良いですね。


H.A