2013年12月2日(月)13時~14時30分、
共通科目の「法学」の講義(経法教員担当)に、
法テラス札幌 副所長の川上有弁護士をお招きして、
法学講演会が開催されました。
講演のテーマは、
平成25年9月4日に最高裁大法廷で判断が下された
「婚外子法定相続分(民法900条4号但書前段)違憲決定」。
冒頭、企画リーダー稲波君から問題状況の説明がなされました。
その後、民法900条4号但書前段が、憲法14条に違反するか否かについて,
学生が、合憲派・違憲派に分かれて対論を行いました。
☆合憲派・鎌田君vs違憲派・新さん☆ 川上先生からも辛子の利いたお褒めの言葉をいただきました。 |
迫力のあるご講演です。 |
今回、民法上の問題についてのご講演でしたが、
川上先生のご専門は、刑事事件の弁護です。
ご講演では、刑事事件の弁護活動にも話しが及び、
弁護活動の経験から、川上先生が、学生に伝えたいこと として、
「反省とは何か」について語られました。
「反省とは、後悔ではない。
原因を理解し、克服しようとする意欲であり、
それに基づいた計画と実践である」と。
実務経験に根ざした含蓄のあるメッセージです。
最後に、質疑応答の時間。
経法の学生ではありませんが、
1年生の梶浦君が川上先生に質問をしました。
真剣な眼差し! |
梶浦優輔君(2013年入学 心理・応用コミュニケーション学科 北広島高校出身)
人間の、とくに我々日本人の正義というのはとても不安定なところで成り立っているのではないかと思わされました。憲法は合理的差別を許されることを内側に秘めている、と川上先生はおっしゃいました。その合理的差別を決めるのは、その差別を正義と決めるのは、最高裁ではなく我々国民です。そう考えると、正義というのはやはり多数決によるものなのかとも思えてくるのです。国民の意思というのは、おそらく大勢が言っていること、思っていることと認識されるからです。しかしその多数決の答えも時の流れと共に変わっていってしまう。そういったことから、正義というのは不安定なものなのではないかと本日の講演会で感じました。
***質疑応答中です。 |
1時間半の講演時間、あっという間に過ぎてしいましたね。
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ところで、今回の企画も、学生による企画でした。
講演会スタッフを務めた学生の感想です。
リーダー 稲波航平君(2012年入学 市立函館高校出身)
約3か月間準備してきた、法学講演会が終わりました。テーマが「婚外子法定相続分差別規定の違憲決定をどう考えるか」という難しいもので勉強面や講演会の構成を考える面でとても苦労をしました。学生の企画として、民法900条の本規定の立法背景や、違憲派と合憲派の主張を、コーディネーターと対論者2人、計3人で対論しました。原稿は修正を重ねて前日の夜にやっと完成しました。3人はとても大変だったと思いますが、本番の対論は素晴らしかったです。主張の対立を分かりやすく表現していて臨場感が聴衆の方々に伝わったと思います。
川上先生のご講演は、黒板・ステージをフルに使った熱いものでした。司会の仕事を忘れて聞き入ってしまいました。
リーダーとして力不足だったと思いますが、メンバーに沢山助けられた講演会でした。
サブリーダー 齊籐綾乃さん(2012年入学 札幌北陵高校出身)
今回の講演会では「婚外子法定相続分差別規定」をテーマとして選びましたが、正直とても難しかったです。聴衆の方にどうわかりやすく伝えるか、ということの前に自分たちの理解が追いつかないことのほうが多かったように感じます。この反省を活かし、次の機会はもっと良いものをつくっていきたいと思います。ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました!
対論コーディネーター 佐藤優起さん(2012年入学 札幌篠路高校出身)
本講演会は私にとって、初めての経験ばかりでした。勉強から始まり、作業、リハーサルと数ヶ月間に渡ってやってきました。時間に余裕がなく切迫つまった状態で大変でしたが、一番私が感じていることは、メンバーに恵まれたことです。皆、自分のことだけ考える人なんて一人もいませんでした。いつも周りを見て、余裕があればサポートに回る、というのが暗黙の了解のように助け合ってきたように思います。私は迷惑ばかりかけてしまったけれど、皆に沢山助けられて頼らせてもらって、このメンバーじゃなかったらやりきってなかったと思います。これは事実です。リーダー、サブリーダーを含め、皆には本当に感謝しています。どうもありがとう。細かいところを指摘するとキリがなく、質の高い講演会とは言えないかもしれないけど、達成感はありました。とても楽しかったです。
パネラー 新智絵さん(2012年入学 札幌東陵高校出身)
私は、講演会自体、見ることも、運営することも初めての経験でした。パネラーとして、前に立って対論をすることになり、このような経験は今までしたことがなかったので、とても不安でした。しかし、みんながサポートしてくれたこともあり、大勢の前で話すのはとても緊張はしましたが、無事にパネラーとして対論することが出来て、とてもいい経験をしたと思います。本当にありがとうございました。
パネラー 鎌田雅大君(2012年入学 帯広緑陽高校出身)
本講演会のテーマは婚外子相続分差別についてでした。勉強会のときに本講演会のテーマは何が問題になっているのか、資料に書かれている文言の根拠は何かということまで勉強して、理解しなければならなかったのでとても大変でした。私は本講演会の中で婚外子の相続分差別が合憲であるという立場に立って、違憲派の人と対論をするという役を任されました。大勢の前で自分達が勉強してきた成果を発表するという機会はなかなか経験することができないので、よい経験になりました。本講演会を通して、仲間達と1つのことをやり遂げたこと、大勢の前で対論を経験することができたのは大切な思い出です。
どこかでみた光景…。 |
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川上先生のご講演とお言葉には、
僕自身も考えさせられました。
ただ、折角の良いご講演でしたが、
いかんせん受講生が少なかった…残念でした。
「法学」担当者の力量不足ですね…。
お忙しいなか、講演をお引き受けいただいた
川上先生に申し訳なかったです。
来年度は、刑事弁護に関わるご講演をお願いしたいと思っています!!!