今年度から,本学副学長・濱保久教授
肝いりの企画として開始されたピアサポート。
濱先生とピアサポーターとして活躍する経法の3人の学生にインタビューしました。
後藤あいさん(北見柏陽高等学校出 2013年入学)
堀内孝汰くん(長沼高等学校出 2013年入学)
吉田桃花さん(新川高等学校出 2013年入学)
Q ピアサポート制度について説明していただけますか。
濱先生(副学長,心理応用コミュニケーション学科教授):
「学生に対するサービスは、教職員が提供するのが基本だったのですが、それだけでは不十分だと感じていました。そこで、学科や全学のカリキュラムを実際に体験してきた上級生に、しかも優秀で意欲のある上級生に,下級生の困りごととか相談に乗ってもらうのが、下級生にとっては一番ありがたいのではないかと考え、ピアサポート制度を導入しました。ピアという言葉は,仲間うちという意味です。現在のセンター棟に入っている学長室,副学長室-今、インタビューを受けている場所-や事務を、建築中のC館に移して、センター棟を学生の活動応援センターに改修しようとしています。センター棟は中庭にあって、学生の動きから見ると一等地なのです。応援センター内に,ピアサポートの拠点も作って,学生が主体的に活躍する良い動きを作りたいと考えています。建物が新しくなると、静止画像はもちろん変わるのですが、それだけではなく,学生の動きも変えたかったのです。日常の動画を撮ったときに、学生が自主的にいろいろな活動をしている、そういう大学にしたいと考えたのです。」
Q この制度は濱先生のご提案ですか。
濱先生:
「そうですね。大学を活性化するとか、学生の動きが大切とかいうのがあって、講義でも、座学だけではなくて、アクティブラーニングが必要と言われていますが、カリキュラムの外部でも、学生の活動の場があったら良いとずっと思っていました。2002年に心理応用コミュニケーション学科(以下,心コミと略)を立ち上げて、当初はそこまで考えていたわけではないのですが、学科立ち上げの副産物として、学生が自発的に様ざまな活動を生み出してくれました。それがなぜ出来たのかというと、学生の活動の場があったから。ところが、全学的に見ると、学科単位で学生の活動スペースを持っている学科も少なくて、何とかしたいと思っていました。心コミでの経験や蓄積を全学で展開できないのかなと思い、ピアサポート制度の立ち上げに至ったのです。」
Q ありがとうございました。皆さんは濱先生のピアサポート制度設立の意図や主旨をご存じでしたか。
一同:
「(笑い)」
濱先生:
「最初の会合で話しましたよね。繰り返し言っていかないと駄目なのかな…」
Q ありがとうございます。経済法学科のピアサポーターを引き受けてくれた3人にお聞きします。ピアサポーターを引き受けた理由を教えてください。
堀内君:
「1年生の時、履修登録に苦戦して、その時に助けてほしいと思ったからです。困っている学生をサポートしていきたいと思ったので受諾しました。」
後藤さん:
「堀内君も言ったように、自分が大学に入ってまず困ったことが、履修登録の仕方でした。そもそも大学が、どういうところなのかもわからなかった。そのときに、先輩が履修の仕方や大学の仕組みを教えてくれたので、時間割を組むことができたのです。けれども,先輩からのアドバイスを受けられない学生もいると思うので、自分がピアサポーターになって困っている学生を助けてあげたいと思ったのと、あと自分のためにもなるかなと思って受けました。」
Q 「自分のためになる」とは,どういうことですか。
後藤さん:
「自分で活動していくことで、人の役に立てるし、大学時代にこういう活動をしたんだというアピールにもなるかなと思いました。」
Q 吉田さんお願いします。
吉田さん:
「堀内君と後藤さんが引き受けるということを聞いて、二人に誘われて、引き受けようかと思ったのです。私も1年生のときに履修を失敗していて、民法を履修しなかったのです。事前登録の仕方とか、時間割の組み方とか、シラバスを見ただけでは分からないことが多いので、後輩にはそういう失敗はしないでほしいと思いました。後藤さんも言っていましたが、ピアサポーターとして活動していたということは、自分にとっても良い経験になるのではないかと思い引き受けました。」
Q 良い経験?
吉田さん:
「多分、ただ大学に通って勉強しましたという人は結構いると思うのです。私は部活とかサークルとかも入っていないので、その予備軍だったのですが、ピアサポーターを引き受けて積極的に活動することで、将来の自分にも何か繋がるのではないかと思いました。」
Q 繋がると良いですね。ところで、今回、ピアサポーターは、どのように選出したのですか?
濱先生:
「大学の後援会が、各学科の成績優秀者トップ5に奨学金を出しています。まずは、その成績優秀な学生にお願いをしました。その5人に、アンケートを発送して、ピアサポートのことを説明して、引き受けてくれるかどうかの意思確認を行いました。なぜ成績優秀者に打診したかというと、成績優秀という結果が、学業に取り組む意識の高さを証明していると考えたからです。そういう学生であれば,学業以外の点でも、意識が高いだろう、と。しかし、学科によってはピアサポーターのなり手がいないとか、1人しかいないとか苦戦しました。各学科の学科長に声をかけたり…とか、また、後から友達づてに入ってきた学生もいます。結成にあたって苦労はしましたが、良い学生が集まって、非常に良い集団になりました。」
Q 経法は、ここにいる3人が手をあげてくれたのですね。私たち教員としても、学生の意識の高さを嬉しく思います。ところで、3人の話を聞いてみると、履修の仕方で困ったので、それに対してのサポートがしたいっていう思いでピアサポーターを引き受けてくれたのですが、ピアサポーターの活動は今後,どのような展開にしていかれるのですか。
濱先生:
「大きく分けると2つの活動を考えています。まず、皆が口にしてくれた入学当初、新入生が、一番戸惑いがあるときに何ができるかということで、具体的には、2015年4月4日(土)一日使って、全学部を対象に、そして学科ごとに、ピアサポーターによるオリエンテーションを行います。これは大きな取り組みで、先日、その準備のための合宿を行いました。合宿では、学科ごとに、プレゼンをやってもらって、さらに詳細な組み立てをやってもらっている最中です。来年2月にリハーサルをやってもらう予定で、12月までに企画書を詰めてもらわないとなりません。これは本当に失敗が許されないものです。
もう一つは、入学した学生にオリエンテーションでサポートをした後の活動です。それぞれの学科に、単位修得に困りそうな科目がいくつかあるのです。そこでつまずいてしまうと、その後の修学や履修が大変というか…。ピアサポーターが、その修学にかかわる相談とか支援をできないかいと考えています。この活動は、今年もやっているのですが、ピアサポーター制度が立ち上がったのが7月で、それから広報活動をして、でしたので、かなり出遅れています。ただ、今年も、各学科でできるようなことを探して試しにやってごらんと言っています。試行期間、助走で良いので、大きな成果はいいから、とりあえず来年4月からの活動に向けて、手ごたえ、感触を持てるように、と。たとえば、英文学科はピンポイントで、ピアサポーターが、学科長の指導のもとで、TOEFLの勉強会をやっているみたいです。
新C館には、ゼミ室のような小さな部屋がたくさんできるのです。僕のアイデアとしては、その小さな部屋を、たとえば経済法学科の部屋とか、福祉心理学科の部屋とか表札だけでも出して、もちろんゼミの入っているときはダメですが、ゼミの入っていない時には、学科の学生がいつでもそこを使えるようにしたらどうかと言っています。そうしたら、休み時間でも、学年に関わりなく、いつも学生がそこにいる、と。学生がいつでも行ける空間があるというのは、色んな意味で学生にとって有益であると思っています。」
センター棟 副学長室にて |
つづく…